MENU

スカボローフェア(Scarborough Fair)

目次

Scarborough Fair(スカボロー・フェア)

曲の説明

「Scarborough Fair」は、イングランドに伝わる古い民謡です。発祥はイギリスの北部、ヨークシャー地方とされています。正確な成立時期は不明ですが、少なくとも中世(14世紀ごろ)には原型があったと考えられています。

タイトルの「スカボロー・フェア」は、かつてヨークシャーの町スカボローで開かれていた大きな市(いち)を指します。この市は長期間続く祭りのようなもので、多くの人が集まりました。歌の中では、遠くへ旅立った恋人に対して、実現不可能なお願いを伝える形がとられています。

歌詞に出てくる「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」というハーブは、単なる飾りではありません。それぞれに意味があり、愛や記憶、誠実さなどを象徴していると考えられています。

この曲は口伝えで広がったため、地域や時代によって歌詞やメロディが少しずつ異なります。同じテーマを持つ別のバージョンも多く、「不可能な課題を課す恋人たち」というモチーフは、ヨーロッパ各地の民謡にも見られます。

1960年代には、サイモン&ガーファンクルがアレンジして発表し、世界的に有名になりました。このバージョンは静かで幻想的な雰囲気が特徴です。


映画やエピソード

「Scarborough Fair」は、1967年公開の映画卒業で使用されたことで広く知られるようになりました。映画の中では、同じメロディに別の歌詞を重ねた「Canticle」と組み合わせて流れます。

この映画は若者の不安や葛藤を描いた作品です。そのため、どこか切なく、現実離れしたこの曲の雰囲気がとてもよく合っていました。この影響で、単なる民謡という枠を超え、現代的な意味を持つ曲として再評価されました。

また、この曲は「問いかけ」と「応答」の構造を持つことでも知られています。あるバージョンでは男性と女性が交互に歌い、お互いに無理な条件を出し合います。これは、すれ違う愛や叶わない願いを象徴していると解釈されています。


代表的な歌詞と意訳(抜粋)

※伝承歌のため、古くから伝わる一節を簡略化して紹介します。

Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme
Remember me to one who lives there
She once was a true love of mine

【意訳】
スカボローの市へ行くのですか。
あの人に伝えてください。
かつて私が愛した人に。

Tell her to make me a cambric shirt
Without no seams nor needlework

【意訳】
縫い目も針仕事もないシャツを作るように。
そんな無理な願いを、あえて伝えてほしいのです。

このように、現実では不可能なことをあえて頼むことで、「もう元には戻れない関係」を表しています。言葉はやさしいですが、内容はとても切ないものです。


静かなメロディの中に、長い歴史と深い感情が込められた一曲です。民謡は時代を越えて人の心を伝えるものだと、この曲は教えてくれます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次